本記事では「ハズレ枠の【状態異常スキル】で最強になった俺がすべてを蹂躙するまで」の小説版の感想を綴りたいと思います。
最近読んだなろうの中では断トツで好きな作品になったので紹介していきます
※この記事では物語が面白くなくなるようなネタバレは一切致しません。まだ読んでいない方も安心してお読みください
『ハズレ枠の【状態異常スキル】で最強になった俺がすべてを蹂躙するまで』のあらすじ

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原作者:篠崎芳
巻数:6巻(2020年1月時点)
レーベル:オーバーラップ文庫
あらすじ
クラスメイトとともに、異世界へと召喚された「空気モブ」の高校生・三森灯河。
クラスの面々はS級やA級の勇者として召喚されたが、
灯河は唯一の最低ランクであるE級。
さらに取得したスキルは、その世界では「ハズレ枠」と称される【状態異常スキル】だった。
女神ヴィシスにより生存率ゼロの遺跡に廃棄された灯河は、絶望の奈落に沈みつつも、自身のスキルを駆使し魔物を蹂躙し続ける。
そして、光も届かぬ闇の底で灯河の胸に去来する思いは、たったひとつだけだった――。
「もし生きて戻ったら――覚悟、しておけ」かつて空気モブだったE級勇者が、絶対最強へと至る逆襲譚、ここに開幕。
出典:Amazonより抜粋
『ハズレ枠の【状態異常スキル】で最強になった俺がすべてを蹂躙するまで』を読んだ感想
パターン
この作品は異世界のもののパターンとしてはクラス転移追放ものです
1クラスまるまる女神によって召喚されるも
主人公にはその世界で最も「ハズレ」とされる能力を与えられ
女神によって廃棄されてしまいます。
絶望しかない状況から這い上がっていくというどこかで見たことあるような展開です。
クラス転移追放ものののポイントは
- なぜ追放されるのか
- どのように追放されて最初の窮地を乗り切るのか
- 最初の窮地を乗り越えてからの異世界を巡る理由付け
- 復讐は行われるのか?行われるとしたらいつ頃どのように?
だと思っています
これらのポイントをこの作品はどうしているのかというのは後ほど解説します。
先にこの作品の魅力を紹介します。
『ハズレ枠の【状態異常スキル】で最強になった俺がすべてを蹂躙するまで』の魅力
①表現が上手い!
まず読んでいて驚いたのはその表現力と展開の構成ですね。
このパターンの作品において、追放されてしょっぱなの主人公が直面する絶望というのは
物語の質を決定づける非常に重要な場面です。
読者にいかに主人公が感じた絶望を見せるかというのは、まさに著者の腕の見せ所です。
この作品はそこが非常に上手いです。
非力な主人公に迫りくる圧倒的な迫力の魔物、誰もいない遺跡ならではの直面する苦悩。主人公よりも先にその遺跡に入れられてしまった者たちの末路。
それら全てが必要な時に必要な量だけ描写されていて、読んでいるこちらは次々と直面する絶望を追体験しているような感覚に陥ります。
②明確なヒロインが一人
これ賛否両論あると思います。
実際私はハーレムものも大変好きです。
しかしこの作品はセラス・アシュレインという先ほどの表紙の子一人がヒロインというパターンです。
僕はこれをヒロイン単騎型と呼んでいます。
このヒロイン単騎型の作品の良いところは
- ヒロインの魅力の描写が深い
- ヒロインが即落ちしにくい
- ヒロインが王道ヒロインである
です。
どういうことかこの作品のヒロインを例にとって解説します
ヒロインの魅力の描写が深い
ヒロインのセラス・アシュレインはその世界において文字通り傾国の美女らしく
それはそれは魅力的な女性らしいのです。
セラスのかわいさは世界に大きな影響を与えるほどとあるのですが
作中でありとあらゆる言葉でその魅力が綴られています。
なので読んでいるこちらは
「え?どんだけかわいいの?」と想像できないほどセラスの可愛さがインフレしています。
異世界で高嶺の花の極みみたいな女性と旅をするというのは、それだけでこの作品に価値があると思っています。
ヒロインが即落ちしない
これ結構重要だと思います。
ヒロインと主人公がしっぽりいってからつまらなくなって読まなくなった作品に心あたりがある方もいるかもしれませんが
ヒロインが多くなれば多くなるほど落ちる速度が上がる傾向があります。
先ほどの魅力の描写と重複しますが
ヒロインと主人公の距離感もゆっくり丁寧に縮まっていくので非常に楽しく見れます
ヒロインが王道
ハーレムものはそれぞれヒロインのキャラが違いますが
ヒロイン単騎型はニッチなキャラ属性ではなく王道のヒロインになります。
玄人のみなさんならこれでわかってもらえると思います
③予想できない
幾星霜もなろうを読んできて、私の中には膨大ななろう知識が存在します。(なんの自慢にもならない)
しかし、この作品では全く読めなかった劇的なあるシーンが存在しました。
是非読んで欲しいです。マジで驚くと思います
この作品がちゃんと先が見えず、次の展開次の展開を期待してしまう決定的な理由は
主人公が必ずしも最強ではないということだと思います
「え?タイトルに最強ってあるじゃん」と思われるかもしれません
ですが、主人公はしっかりとピンチに陥ります。
別に主人公の落ち度ではなく、能力の制限によってピンチになるのです
これによってしっかりと読者はハラハラでき、そこを解決する様は痛快ですらあります。
④復讐対象がちゃんとウザい
これクラス転移追放ものを書くなら当たり前じゃん
と思われるかもしれませんが、意外にもここが丁寧に描かれている作品というのは少ないものです
復讐対象シーンが定期的に挟まりそのシーンもしっかりとウザいです。
なので読者はその復讐対象への憎しみを忘れることがありませんので、主人公と近い感情で物語を読んでいくことができるので
作品に没入しやすいのです。
考察
先ほど述べたように
クラス転移追放もののポイントは
- なぜ追放されるのか
- どのように追放されて最初の窮地を乗り切るのか
- 最初の窮地を乗り越えてからの異世界を巡る理由付け
- 復讐は行われるのか?行われるとしたらいつ頃どのように?
でした。ここからなぜこの作品が面白いかを考察します。
最初の窮地を乗り越えるさまに好感が持てる。
追放される理由は、非常に理不尽なもので
しっかり憎しみが持てます。
そして、最初の窮地、遺跡に放り込まれた主人公が
自分の足で、自分の頭で、自分の能力を駆使してその絶望を乗り越えていく様は
とても好感が持てます。
異世界を巡る理由付けがしっかりしている
クラス転移追放ものだと当たり前ですが
すぐに最初の窮地を乗り越えて復讐に向かうということにはなりません
異世界ものである以上異世界を堪能する必要があるからです
そこでその理由があるのですが、そこも不自然さを感じず、今後の展開も適度に読者に伝えることができている非常に巧いものだと個人的に感じました。
一本筋が通ってる
これは作品全体を通して言えることですが
追放されてからの主人公の思考とか行動が好感と共感が持てます。
主人公の言動に違和感がありません。
私は物語において違和感というのは敵であると常々思っています。
そしてこの作品においてはその要素が非常に少ないと思います。
そこも私がこの作品を好きな理由です。
まとめ
総じての評価は
最高にいいです
この作品は間違いなく私の中でクラス転移追放ものの最高傑作になりました。